現在,小学校から高校生まで全員が,学校でプログラミング教育を受けています。
プログラマーやシステムエンジニアでもない限り,ほとんどの保護者はプログラムに触れたことがないと思います。
子供が,プログラミングに興味・関心を持った時,保護者はどう対応したらいいでしょうか。
今回は,子供がプログラミングに興味・関心を持った時の対応について説明します。
あらかじめプログラミングを楽しむ手段を知っておくことで,タイミングよく,子供たちの興味・関心を育てることができます。
プログラミングに興味を持った時,パソコンだけを与えればいいのか?
“子供がプログラミングに興味を持った時”の前に,子供がプログラミングのどんなことに興味を持ちそうなのか知っておいた方がいいでしょう。
現在,小中学校では,次のようなプログラミング教育が行われています。
【小学校】
プログラミングを体験しながらコンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付ける。
【中学校】
プログラミングによる問題解決(能動的な活用)
20年以上前に情報教育が流行ったときのような,パソコンを使って絵をかいたり,誕生カードを作るようなレベルではありません。
学校では,パソコンを使って実際にプログラムをつくり,それぞれの課題を解決するような学習をしています。
プログラミングに興味を持った時にパソコンだけを買い与えても,子供を満足させられないでしょう。
逆に,インターネット,SNSなどで,負の面に触れる機会を多くするだけです。
学校で子供が学んでいることの延長線上で考えると,
パソコンのほかに,子供と一緒に課題を解決するような保護者のサポートが大切だと考えます。
プログラミング教育の実施例の詳細を,次の記事にわかりやすく紹介しています。
保護者のできることの例~おしゃれランプの自由研究サポート
子供と一緒に課題を解決するような保護者のサポート例として,おしゃれランプの自由研究を紹介します。
”ランプの光をおしゃれにして。部屋を明るくしよう”という課題設定で,おしゃれな光らせるには,どのようにプログラムしたらいいのか研究します。
おしゃれランプ
市販の色の変化するランプは,いくつか決められたパターンの色の変化しか出せません。
マイコンとLEDを使うと,光る色と,色の変化のタイミングをプログラムで変えることができる,自分オリジナルのランプを作ることが出来ます。
しくみ
フルカラーLEDは、赤色LED、緑色LED、青色LEDの3つの発光する部分が1個に収まったLEDです。
このフルカラーLEDの中にある赤色、緑色、青色の電気を個別にスイッチして、3色の組合せで色を変えています。
プログラムに従って、マイコンから3つのトランジスタにそれぞれON/OFFする命令を送ります。
人間なら0.1秒間隔でON/OFFを切り替えることなどできませんが、プログラムを書いてマイコンに実行させると可能です。
プログラムはパソコンを使って作成し,マイコンにダウンロードします。
ダウンロードしたプログラムは,マイコンの電源が切れても消えませんし、また、書き換えることもできます。
材 料
部品は,全く同じ規格のものでなくとも作ることができます。
マイコンも,この記事の後半で紹介する”Arduino”でもOKです。
○本 体
フルカラーLED(1W)
トランジスタ(2SC4811 3個)
マイコン(12F629)
ブレッドボード
抵抗
○台
テッシュペーパーの空き箱などなんでもいいです。
○シェード
ちょうちん,シャイニーポット,プラスチックコップなど
(100円ショップで購入できます)
○+5V電源
スマホのACアダプタなどが利用できます。 中古のもので十分です。
〇部品購入先
電子部品は,秋月電子通商で比較的に安く購入できます。
製 作
製作例です。
はんだ付けをしないで,ブレッドボードに部品を実装して作ることもできます。
実験
例えば,次のような実験をします。
赤,緑,青の組合せでどんな色ができるか調べます。
点灯させる赤色LED,緑色LED,青色LEDの組わせを変えて,光の色がどう変わるか調べます。
例えば
赤色LEDと緑色LEDの場合→○○色
緑色LEDと青色LEDの場合→○○色
青色LEDと赤色LEDの場合→○○色
LEDの点滅間隔と光の強さの関係を調べます。
LEDの点滅について,点灯している時間と消灯している時間をさまざま変えて,光の強さの変化を調べます。
保護者のできることの例~自動運転模型電車の自由研究サポート
子供と一緒に課題を解決するような保護者のサポート例として,自動運転模型電車の自由研究を紹介します。
”安全な模型電車を作ろう”という課題設定で,障害物があるとき自動で電車を止まらせるには,どのようにプログラムしたらいいのか研究します。
自動運転模型電車
自動で,障害物があると止まり、障害がなくなると発進する電車です。
市販の模型電車を改造して作れます。
しくみ
制御部分の主要な部品は,測距モジュール,マイコンです。
測距モジュールは、光を前方に発射して、反射してきた光の量に応じて,電圧を出力します。
障害物が遠くにあると電圧が低くなり,近いと高くなる特性があります。
PICマイコンは,測距モジュールからの電圧で距離を判断し、モーターの電源をON/OFFします。
プログラムは,以下のように制御するように組みます。
- 電圧が低い(障害物が遠い)→モーター ON
- 電圧が高い(障害物が近い)→モーター OFF
製 作
写真は,はんだ付けしたときの例です。
はんだ付けをしないで,ブレッドボードに部品を実装して作ることもできます。
実験
センサの出力電圧を判定する閾値と障害物までの距離を調べます。
センサの出力電圧を判定する閾値をプログラムでさまざま変更します。
そして,最適な閾値を調べます。
家庭でできるプログラミング環境
プログラミング教育の教材として、数万円もするロボット教材などが販売されています。
しかし,”子供の興味・関心のレベルに応じた教材”であれば,安価にプログラミング環境を整えることができます。
「いろいろできるけど、使い方がよくわからない教材」よりも、「とりあえず,試してみたいことができる教材」が一番だと思います。
1 パソコン
マイコンのプログラムを作成します。
性能の低いパソコン,古いパソコン(7,8年前程度)でも,大抵使うことができます。
限度はありますが,それほど高い性能は必要ありません。
写真は,プログラムを作るための専用ソフトウェアArduino IDEをパソコンにインストールしたシステムです。
Arduino IDEは,無料でダウンロードできます。
2 マイコン
写真は,Arduinoというマイコンモジュールです。
サンプルプログラムも多く,安価で扱いやすいマイコンです。
3 通信ケーブル
パソコンで作ったプログラムをマイコンに送ります。
4 LED等の電子部品
マイコンで制御する対象です。
制御したいものによって変わります。
マイコンからの制御内容を確認するとき,LEDを使うと便利です。
はじめから,多くは必要ありません。
インターネットで部品を簡単に購入できます。
ここでは,先ほどとは別のお店を紹介しておきます。
お店によって品ぞろえが異なり,価格も異なるので,使い分けるといいです。
気軽にプログラミングを試したい場合
”部品を集めて組み立てるのは大変!”という場合には,キットを使う方法もあります。
特に,部品の組み立てで挫折しそうな場合には,初めから配線済みで気軽にプログラミングを試せる,次のキットが役立ちます。
しかも,利用者をサポートするサイトが充実しているので,初心者にとってとても安心です。
プログラミングツールのダウンロード先,使い方,サンプルのプログラムなど,次のサイトを入り口にして,さまざまな情報を入手できます。
さらに,やりたいことが増えたら,さまざまな部品を,安価に追加して試すこともできます。
まとめ
今回は,子供がプログラミングに興味・関心を持った時の,タイミングよく,子供たちの興味・関心を育てる保護者の対応について紹介しました。
子供がプログラミングに興味を持ち始めた時は,パソコンだけでなく,子供と一緒に課題を解決するような保護者のサポートがあるといいです。
そこで,夏休みの自由研究を子供と一緒に取り組む例を2つ紹介しました。
【保護者のできることの例】
- おしゃれランプの自由研究
- 自動運転模型電車の自由研究
また,家庭でできるプログラミング環境も紹介しました。
”子供の興味・関心のレベルに応じた教材”であれば,安価にプログラミング環境を整えることができます。
これまで,子供がプログラミングに興味・関心を持った時の,保護者の対応について紹介しました。
プログラミング教育は,プログラマー養成のための特殊な教育ではありません。
プログラムを作って実際に物を動かすことは,3~4千円程度から楽しめます。
まずは,保護者自身が試してみることから始めたらいかがでしょうか。
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